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民衆のメールが3人を助けた
2004-04-13
イラクで拘束された3人の日本人は、カタールの放送局「アルジャジーラ」に寄せられたFAXによる声明で、釈放される見通しとなった。事件を知るほとんどの日本人が、ひとまず安堵したことだった。しかし、今回の事件をめぐって、メディアと政府と民衆の行動をきちんと分析整理してみると、決して「釈放、万々歳」ということではすまされない非常に重大な問題が含まれている。
まず第一に、この「日本人誘拐」という事態に、政府も与党(つまり「仏教政党」と称せられる公明党までも)も、あっさりと「自衛隊は撤退しない」と公言し、小泉首相は家族との面会すらも拒否した。「渡航情報で入国しないように、といっている」とあたかもボランティアや仕事で入った3人を非難するかのようだった。
実際にこんな事件が続発しているのは、既にイラク全土が「戦闘地域」になっていることを示すものであるはずだ。イラク特措法によれば、自衛隊は「非戦闘地域」に限って派遣されている。少なくとも自衛隊の一時撤退くらいは、選択肢の一つだったはずである。政府も与党も、こうした点については全く検討しないまま、強硬発言を繰り返した。
第二に、こうした状況のなかで、改めて自衛隊のイラク撤退を主張したのは、共産党と社民党だけで、自衛隊のイラク派遣には反対したはずの民主党も、「政府に側面協力する」と、イラクからの撤退を主張しなかった。「既に自衛隊がイラクに派遣されている以上、ここで『撤退』をいうのは、テロに屈したことになる」というのは、政府の主張と少しも違わない。「そもそも「撤退」がテロに屈したことになるなら、なぜ「派遣」に反対したのか。政権担当能力」を示そうとしたのか、「二大政党の責任」を果たそうとしたのか。簡単なことだ。要するに「準与党」。そんな政党なら、野党の素振りはやめることだ。
さらに、新聞はどうだったか。事件発生を伝えた9日付の各紙社説は、朝日「救出に全力をあげよ」、毎日「卑劣な脅迫は許されない」、日経「卑劣なテロ集団から人質の救出を」、東京「日本人救出に全力を」と当たり前のことを書いてお茶を濁す一方で、読売は「卑劣な脅しに屈してはならない」の見出しで「テログループによる自衛隊の撤退要求などの屈するわけには行かない」と主張、産経も「今こそ国内が一致結束を」で「日本赤軍によるダッカ・ハイジャック事件に際してとった日本政府の対応の誤りは繰り返してはならない」と政府の考え方を支持した。10日には朝日も「脅迫では撤退できぬ」と読売に同調した。つまり、「人命は米国追従より軽かった」のである。
この中で、北海道新聞が「『撤退拒否』の犠牲にするな」と書いて、「テロに屈する、屈しないの問題を超えた状況にすでに現地はある」「法的な要件、隊員の安全に対する配慮義務に従えば、駐留は断念しなければならないはずだ」「対米追従の結果を善意の若者の生命で償うことになってはならない」と主張したのが目立つ程度だった。
そして最も注目すべきことは、こうした「政治」とマスコミの現状の中で、民衆の動きは違った。集会やデモをして動き、声明が次々と出され、署名運動が広がり、メールが飛び交った。「彼らは自衛隊の派遣に反対し、イラク人民のために活動してきた人たちだ」−。政府関係者が「全力を尽くす」というだけで何もしなかったのと対照的に、アルジャジーラには犯人グループとイラク人民へのアピールやメールが殺到し、アルジャジーラはそれを報じた。(例えばインターネットのアルジャジーラ英語版のサイトでこれらを読むことができる)。
川口外相がようやく現地向けの放送のため、メッセージを録画していたとき、犯人側は「24時間以内に釈放」のFAXを届けていたのである。
つまり、既成の組織−つまり政府−がほとんど機能しない中で、民衆の運動が先行し、それが犯人たちを動かし、問題解決につながった。恐らく、共同、時事をはじめとする日本からの対外発信もそれに力があっただろう。しかし、決定的だったのは、「3人を救え」と殺到した民間団体や個人からのメールであり、アピールだった。
問題はかなり明確になった。
いま、日本は何をしているのだろうか? もともとイラク人民の支持を得ない米国追従の自衛隊派遣である。いまや法律的にも要件を満たさなくなったのだから、早急に撤退させなければならない。
http://www.jcj.gr.jp/view.html#20040412
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